▶ドライアイ
ドライアイは、涙腺から出る涙の量が減少したり、涙の蒸発量が増加することで、目を保護している涙の膜が乾いた状態になることです。目の表面が傷つきやすくなったり、ウイルスや細菌に感染しやすくなったりします。
日本国内のドライアイ患者数は、推定2000万人以上といわれていて、とても身近な目の病気です。その中で治療を受けている人はとても少なく、たんなる「疲れ目」「乾き目」と思っていることが多く、病状がかなり進行してから眼科を受診する人が多く見られます。
ドライアイの症状
ドライアイの主な症状は、目が疲れやすい・目がゴロゴロする・目がショボショボする・目がかすむなどです。また、白っぽい目やにが出たりします。症状が進行して結膜や角膜に炎症が起きると目の充血や痛みがともない、まぶしさを感じたりします。
疲れ目の症状に似ていて気づきににくいので、充分目を休めても症状が改善されないときは、ドライアイを疑ってみましょう。症状が長引くときは、角膜や結膜に傷がついているかもしれません。早めに眼科で適切な治療を受けましょう。
ドライアイの原因
●まばたきの回数が少ない
日常生活で、パソコンや携帯電話などを長時間使用したり、作業に集中しすぎて、まばたきの回数が減ったりすると、目の表面が乾いてドライアイの原因になります。
●室内の乾燥
近年の住宅環境は、気密性の高い部屋でエアコンを使用しています。空調の利いた室内は空気が乾燥し、涙の蒸発量が増えてドライアイになることがあります。室内の空気が乾燥するときは、加湿器などを活用しましょう。
●ストレス
内臓の機能を支配する自律神経は、交感神経と副交感神経の二つの神経系統から成り立っています。交換神経が働くのは、活動しているとき・不安・恐怖・怒りなどストレスを感じているときで、副交感神経が働くのは、睡眠中やリラックスして落ち着いているときです。涙の分泌は副交感神経に支配されており、ストレスの影響で交感神経が優位に働いているときは減少するといわれています。
●コンタクトレンズ
コンタクトレンズは水をはじくため、目が乾燥することがあります。また、まばたきが不完全になることで涙の量が少なくなったり、レンズの汚れや傷が涙の膜を不安定にすることがあります。涙の膜が不安定な状態だと、角膜や結膜の一部が乾燥してドライアイになることがあります。ハードタイプやソフトタイプのどちらでもドライアイが進行することがあります。ソフトコンタクトレンズの中には、涙を吸収して蒸発させてしまう素材もあります。コンタクトレンズの装用で普段から目の充血や痛みがあるときは、眼科に相談し、自分の目に合ったコンタクトレンズを処方してもらいましょう。
ドライアイで涙の量が減ると酸素や栄養分が角膜に行き渡らなかったり、目に入った異物やウイルス・細菌などを洗い流せなかったりして、さまざまな目の病気の原因になります。
目を守る涙の三層構造
体の表面は皮膚で覆われています。皮膚は、外部から侵入してくる異物やウイルス、細菌などから体を守ったり、体内の水分の蒸発を防ぐ役割をしています。しかし、眼球は光を取り込まなければいけないため皮膚はなく、眼球と外部の間には、薄い涙の層しかありません。
涙は、外部に露出している眼球表面の結膜や角膜全体を薄い水分の層で覆い、外部から目を守っています。涙の量が減ったり、蒸発量が増加すると角膜や結膜が乾燥して、肌荒れのような状態になり、目の細胞がはがれたりして傷つきやすくなり炎症を起こしたります。
目の表面を覆う涙は、3つの層から成り立っています。
外側には、上下のまぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌されている薄い油の層「油層」があります。この油層が涙を蒸発を防いでいます。内側には粘着質のムチン層があります。ムチンは結膜や角膜から分泌される粘液です。表面張力で涙が水玉にならず、目の表面にすき間なく広がることができます。この二つの層の間に水層と呼ばれる涙が大半を占める涙液の層があります。この三層構造で目を保護しています。
涙は、まばたきによって目の表面に涙の薄い膜を作って、ウイルスや細菌の侵入を防いだり、目が傷つかないように保護しています。まばたきをすることで、この涙の薄い膜は作られますが、ドライアイになると、まばたきをしても目を守る膜に穴が開いたりして保護膜が不完全な状態になります。
<涙点プラグによる治療>
涙は、上まぶたにある涙腺でつくられ、まばたきによって目の表面を潤し、涙点から鼻の奥へと流れていきます。
涙点プラグはドライアイの治療法のひとつで、涙が排出される「涙点」をふさいで、少ない涙を溜めて有効に活用する治療法です。外来で治療ができます。治療後すぐに涙が溜まり、症状が改善することが認められており、ドライアイの治療法となっています。
涙点プラグは、ドライアイの有効な治療法ですが、医師としっかり相談して治療選択してください。